矯正歯科の基礎知識
開咬(かいこう)とは
歯並びが悪い状態のことを、歯科医療の分野では不正咬合といいます。 不正咬合に分類される歯並びとして一般的なものは、出っ歯、受け口、乱杭歯(らんぐいば)がありますが、開咬(かいこう)もまた、日本人に多く見られる不正咬合のひとつです。
人間の顎は通常、閉じている時に上下の前歯がしっかりとすき間なくフィットするように作られていますが、開咬になると、上下の前歯同士が噛み合わなくなってしまいます。
そのため、口を閉じていても前歯のすき間から舌先が見えてしまったり、食事中に食べ物が口からこぼれ落ちてしまうことがあります。また、開咬状態を放置していると必然的に発音が悪くなり、カ行、タ行、サ行などの音が出しにくくなってしまいます。
開咬の主な原因として挙げられるのは、まず指しゃぶりです。幼い頃から指しゃぶりを習慣にしてしまうと前歯が指によって押され咬まなくなってしまいます。また前歯の生え変わり時期に永久歯が生えるのが遅れると、舌で前歯の抜けたスペースをうめる癖が出てしまい、開咬の原因になります。
これらによって開咬が進行すると発音がますます悪くなるばかりでなく、開咬の人の多くは口を開けていることが多いため、外部からの雑菌が侵入しやすくなってしまうため病気のリスクが高まりますので、放置する事はおすすめしません。
開咬の治療は、指しゃぶりが原因であれば指しゃぶりをやめさせる、MFT(口腔筋機能療法)とよばれるトレーニングによって舌のコントロールをよくする、特殊な器具によって噛み合わせを矯正する、などのアプローチが試みられます。 さらに、舌小帯と舌の可動部が深く癒着してしまっている場合は滑舌が悪くなりますので、重症の場合は外科手術によって癒着部分を切除する場合があります。
開咬は自然治癒が期待できない症状であり、早い段階から本格的に治療を行なうことで完治の可能性が高まりますので、子どもの開咬を発見した場合には早期に歯科医院に相談しましょう。